

Plan
2026年度は、異なる医療体系や文化背景を持つ4カ国への訪問を通じ、慣れ親しんだ日本の医療を客観的に見つめ直すこと、多様な医療のあり方に触れることで、柔軟で包括的な視点を養い、将来、世界の医 療の発展に貢献し得る医師としての基盤を築くことを目的として活動を行いました。

01
モンゴルにおける地域医療アクセスと生活習慣病へのアプローチ
世界屈指の低人口密度を誇るモンゴルにおいて、遊牧民や地方居住者に医療を届けるための「移動式診療」や「遠隔医療」の運用実態を見学します。地理的制約を乗り越える工夫とシステムを学ぶことは、日本国内の過疎地域における医療アクセス課題を考える上でも大きなヒントになると期待しています。また、伝統的な肉食中心の食習慣や寒冷気候に起因する高血圧・心血管疾患などへの予防・早期発見の取り組みを視察し、地域特有の生活習慣病対策について知見を広げます。
02
多民族社会シンガポールにおける制度とグローバル医療教育の探究
「自助努力」を基本理念とするシンガポールの社会保障・医療費積立制度(Medisave等)を分析し、日本の国民皆保険制度と比較することで、持続可能な医療のあり方を再考します。また、多様な民族や外国人が共存する現場での多文化配慮の実践を学ぶとともに、公用語である英語と欧米のシステムを取り入れた「アジアの医学教育拠点」としての現地医学生と交流を行います。将来のビジョンや医療倫理について直接議論を重ね、グローバルな視点とネットワークを構築することを目指します。

03
カンボジアでの臨床の原点回帰と公衆衛生・感染症対策

医 療資源や高度機器が限られるカンボジアの現場を通して、視診・触診・聴診といった医師自身の「五感」を用いたフィジカルアセスメントの重要性を体感し、患者を直接診る臨床の原点的な力を養います。さらに、都市部への偏在や医師不足、結核・デング熱といった熱帯感染症への対応、国際協力やNGOが果たす公衆衛生上の役割を学び、日本とは異なる疾病構造から医療の社会的側面と国際保健のあり方について深く学びます。
04
中医学の理論体系と臨床応用への理解
日本の医療が基盤とする西洋医学に対し、中国に根付く中医学は心身の調和と自然治癒力を重視する体系です。中医学が日本に伝来し独自に発展したものが漢方医学ですが、両者は理論やアプローチにおいて異なる点も多く存在します。今回の訪問では、現地病院での西洋医学と中 医学の補完関係や臨床応用を視察し、東洋医学の源流に触れることで、日本の漢方医学に対する理解をより深めていきたいと考えています。


05
中国における最先端医療DX・AIと高度医療の実践
膨大な人口を支える中国のスマート病院やオンライン診療、AI画像診断・創薬プラットフォームなど、最先端の医療テクノロジーを視察します。シリコンバレーにも匹敵する上海の医療ベンチャー群を訪れ、技術が医師の働き方や患者の受療体験をどう変えているのか、その社会実装のスピード感を体感します。同時に、高額診療と手厚い環境を提供するVIP医療の現場を通して医療ビジネスの多様性を学び、デジタル化に伴う倫理的側面や質担保のあり方についても考察を深めていきます。